第二話 事務仕事と侵入者

フィユル川 臨時拠点

「木槌で飛んでるときに思ったんだけど」
「はい」
「こことかここに害虫が集中していたわ」

モモとレシュノルティアはフィユル川周辺の地図を見ながら現在の状況説明をしている。

「ねぇねぇシンビジュームちゃん、木槌って飛ぶの?」
「空飛ぶ木槌は見たことないかな・・・」
「ちゃんと空から援軍として駆けつけましたの!」

こっちはこっちで空飛ぶ木槌の話になっている。

「ちょっと暇だし外で体でも動かさない?」
「また雪合戦ですの?」
「今は休憩時間だし良いと思いますよ」

拠点周辺は安全なため空いた時間で雪合戦で遊んだりしている。
任務を遂行する上で息抜きも大事な事のひとつである。
そういう意味では遊ぶことに全力のオンシジュームの存在はありがたい。

「害虫の密集地帯は危険ですよね・・・知らない人が迷い込んだら」
「正直この数は花騎士でも単身だと危険ね」

花騎士がセカイバナの恩恵を受けているとしても超人ではない。
痛みは感じるし、恐怖も感じる。
普通の人の中にも少しは戦うことが出来る人もいるがそれは一握りである。

「とりあえず、この地区には立ち入り禁止の看板でも用意しときますね」
「あとは騎士団に相談して討伐隊を編成してもらいましょう」

実際の調査、調査書の提出、対策を考えたりとやることは後を絶えない。
今まではのんびりとやっていたが。
こうして援軍が来た以上はしっかりとやらないといけない。

「ふぅ、調査書の整理って案外大変ですね」
「放っておくとどんどん溜まって行くわよー」
「気をつけます・・・」

でもこの仕事は害虫についての調査書。
レシュノルティアにとっても害虫のことを知ることができるため一石二鳥な仕事だ。

「もっと害虫について知りたいもん、頑張らないと」
「根をつめすぎても駄目よー」
「は、はい」

体を壊しては元も子もない。
外で遊んでいたハナモモが戻ってきた。

「そういえばチーくんは元気ですの?」
「元気だよ、良かったらこの任務終わったら会ってあげてよ」
「そうしますの」

チーとはある任務の際に懐いたチビカーマという元害虫である。
普段のちょっとした任務なら連れて歩いているが今回の任務は大掛かりになると思って留守番をさせている。

「でもチーくんも連れてきたら良かった・・・って思うんだよね」
「そうなんですの?」
「あの子、もともとウィンターローズに生息する種だからこの地形での戦闘は得意みたいで」
「あの子小さいくせに強いわよねー」

そう小さな種類のカマキリだがその戦闘力は侮れない。
そんな話をしているとシンビジュームとオンシジュームが戻ってきえいた。

「レシュノルティアさん、吹雪が強くなってきました今日はこれ以上調査はできそうにないです」
「さすがの私もこの悪天候だと元気一杯!ってわけにはいかないねー」
「では今日のお仕事はこれで終了とします、また明日にしましょう」

というわけで今日の調査は終了となった。
休憩後に少し調査予定だったが天候が荒れては動きようがない。
レシュノルティアは臨時拠点にある資料庫に向かった。
レシュノルティアが来たばかりなのに声が聞こえる。

「・・・んーこれじゃないなー」

人の声?侵入者?まずは少しづつ近づくことにする。

「皆上の宿舎にいるはず・・・なのに人の声・・・」
「あっこれはためになることが書いてます」

声の主は何かを探してる?

「最悪の事態も想定しておかないと・・・」

武器を構えて声のする方向に更に近づく。

「・・・花騎士・・・?」

侵入者の意外な正体、また宿舎のほうでも騒ぎが起こっていることをレシュノルティアはまだ知らないでいた。

  • 最終更新:2017-08-03 11:10:06

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